2.青色のいたずら

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 早く目覚めた朝にしたのは、私の中に残った感触と感覚を断ち切ること。   ハサミで……チョッキン!  前髪は短くしたし伸びた髪は後ろでひとつに結いた。これで今日こそはまともに絵が描けるだろうと考えたのも束の間!!  (あおい)ひとだ。急いで柱の影に隠れる。  一階の廊下に降りると、腕組をして仁王立ちしている姿が行先にあった。そこを通らないと美術室に行けないのに。  今日はYシャツをきちんと制服のズボンに入れている。  ……身長は176センチ。ウエストの位置からして短足ではない。上履きのサイズは27かな?  やはり美術モデルにしても良さそうな……ついコソコソと観察をしてしまった私は我に返る。  髪型も変えたし気付かれないのでは?  どうにか廊下の隅の方をこっそり通って見つからないように、、、 「大井田原(おおいたわら)真白(ましろ)!」 「はいっ」  急に呼び止められクイクイと指でこっちに来いと合図する。初めから私を待ち構えていたのだろうか。壁に貼られたネームプレートを指差し、むっとした顔でこじんまりした私を叱る。 「まろ、言って!間違えてたじゃん」 「……はい」 「コレずっとここにあったろ?  応接室の真ん前だから何度も見てて……  すげぇ綺麗だって思ってた。真白の絵だったのか」  そう言ってプレート上の額縁で飾られた私の絵を……念入りに観賞している。  これは高校に入って最初に描いた作品でコンクールで大賞を取った。 「コレ桜……だよな?  花火のエフェクトかけたの?画出効果狙ってデザインした?」 「エフェクト?」 「……真白にはこうゆう風に見えるってこと?」 「!?」  心臓が大きく跳ね上がる。  強い眼差しが私の瞳を覗き込んで、またパチパチと絵の中の桜達みたいに私の体が弾ける。 「ん?真白、髪切ったの?  ……よしっ!決めた。ちょっと来て」 「えっ?何!?」  私の手首を拘束すると強制的に伴って連れて行く。とても早足で私の体はヨタヨタと揺れるのに、がっしり支えられているような不思議な感覚。  掴まれた手首から伝わってくる熱がもどかしくて、反対の手がムズムズしてビリビリ……スカートを握って紛らわす。  彼は私を連行する足取りに合わせて、早口で有難迷惑にも説明していた。昨日の進路面談でカラーを注意されたと。  モデルとして社会貢献したとか……放っといたらすぐ落ちるとか?  担任に弁明したけど遅刻が多いし、2年時にも何たらかんたら?  単位はギリ計算で大丈夫だけど、態度がヤバくてガチの指導くらった??  …な感じの話だったが動揺してて曖昧な聴き取り。  そして美術室で私を解放すると突拍子もないことを彼は言った―――。 「俺の髪に色塗って。黒髪に戻して欲しい」 「はぁ!?」
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