2話 もしかして霊の仕業?

1/1
前へ
/7ページ
次へ

2話 もしかして霊の仕業?

「母さん!」 「何さ、大きな声で、珍しい」  そう言われ、 「あ、ごめん」 「いいけどどうしたの?」  この後に及んで言おうか言うまいか迷った。  母は不思議そうな顔をしている。 「いや、やっぱりいいや」 「何かあったの? 変な子ねえ」 「気が向いたら言うよ」  愛しの妹の純子に言ってみようかな。もしかしたら分かって貰えるかもしれない。夜にでも純子に聞いてもらおう。  母が僕の部屋に来た。時刻は午後6時過ぎ。 「ちょっと気になったんだけどね、最近、あんた仕事から帰って来るの早くない?」  隠すつもりはないが、言おうとは思ってなかった。でも、気付かれたからには言うしかない。 「最近調子悪くてさ。それで、早めに上がらせて貰ってる」 「そうなんだ。どういうふうに具合い悪いの?」 「うーん、さっき話そうとしてやめた話しなんだけど……声が聞えるのさ」 「声?」 「うん、誰のかはわからないけど、謎の声」 「え!? それって霊とかじゃなく?」 「もしかしたらそうかもしれない」  母は表情を歪めた。 「嫌ねえ、気持ち悪い……」  やっぱり受け入れて貰えなかった。言わなければ良かった。 「純子にも話してみるよ」  母は俯いてしまい、 「あの子だってきっと怖がると思うよ」 「やっぱりそうだよなあ……、どうしよう」  母は何かを考えているようだ。 「調子悪いのは何で?」 「わからないよ」 「声が聞える、という事も含めて病院で診てもらったらは? 調子も悪いんだし」 「そうだね、希死念慮もあるし」 「きしねんりょ? 何それ」  僕はあまり言いたくなかったが、つい口に出してしまった。気持ちのはけ口が欲しかったのだと思う。 「……死にたくなる気持ち」 「え! そうなの!? それは病院に行くべきだわ! 今日はもう診察やってないから、明日とりあえず総合病院に行ってごらん。仕事は休まないといけないけどね」  母の話しは妙に納得がいった。なので、明日病院に行く事にした。  部長に連絡して休む旨の話しを伝えて、了解を得た。  
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加