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3話 絶不調
眩暈もするので母に車で送って貰おうと思ったけど、訊いてみたら母は仕事らしい。どうしよう……。こんなに具合いが悪かったら歩いて行けない……。タクシーで行くか……。お金はかかるが、仕方ない。タクシーを呼ぼう。電話番号が分からないので、ネットで検索してかけた。15分くらいで来るという。それまで横になっていた。でも、眠ってしまうこともなく、ただただ、聞こえてくる声に耐えていた。
シネヨオマエ
ダメダヨアンタ
定期的ではないが結構聞こえてくる。もう嫌だ……。消えたい……。こんな暗い気分で生きているなんて……、というか生きていけるのか? 魂を抜き取られそう。でも、そんな事ってあるのかな。ふと、思いついたんだけど。そんな事を考えていると何だか不気味な気分になってきた。こんな気分にさせられるのは、謎の声のせいだろう。よく分からないけれど。
大した用意もしないで僕は外に出た。風呂にも入らず、服装も上下ジャージの上にダウンジャケットを羽織り外に出てみた。タクシーはまだ来ていない。極寒の地に住んでいるので、寒さに我慢できない。なので、家に戻った。きっと、来たらクラクションを鳴らしてくれるだろう。
それから約30分は待った。タクシーは何をやってるんだ。遅い! ようやくクラクションの音が聴こえた。僕は怠いのでゆっくりと立ち上がった。そして、外に出てタクシーに近付くと、ドアが自動で開いた。座席に乗った時、文句を言おうかと思ったけれど止めておいた。喧嘩になっても嫌だし。
行先を伝えると発車した。運転手は、
「遅くなってすみません。途中でスリップ事故があってね」
そんなの言い訳だろうと思ったので何も言わなかった。具合い悪いから尚更だ。
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