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1話 謎の声
今日、僕は自らの命を絶とうとしている。でも、なかなか踏ん切りがつかない。心の何処かで死にたくない、という気持ちがあるのかもしれない。ずーん、と心の中が暗く重い。きっと僕は病気を患っている、しかも心の。誰もいないところで聞こえてくる謎の声。怖い。聞こえてくる内容は、
シネ
イナイホウガイイ
などとネガティブなものばかりだ。親に話そうとしたが、きっと理解されないと思い、言っていない。寧ろ、気持ち悪がられるかもしれない。兄妹もいるが、同じことだろう。
僕は妹の事が大好きだ。氏名は、川村純子という。年齢は19歳で大学生、文学部に所属している。仮に、僕の現状を話して気持ち悪がられたら最悪だ。生きていけない。それくらい妹が愛おしい。でも、純子は僕の事をどう思っているのだろう。顔色が悪く、暗い僕の事なんかどうでもいいと思っていたりして。僕が調子悪そうにしていても、誰も声を掛けてくれない。僕という人間は期待されていないのだろうか。僕の氏名は
川村一郎といい、22歳で社会人。具合いが悪い日が続いているので、部長に相談した。すると、
「パ―トになって4~5時間の勤務にしたらどうだ?」
と言われた。お言葉に甘えてそうしてもらうことにした。僕の職業は、現場代理人の見習い。いずれは1級の現場代理人になりたいと思っているが、今のままじゃ、無理だ。その時、耳鳴りと共にまた謎の声が聞えてきた。
オマエジャムリダ
ガンバッテモムダ
嫌になってくる。とりあえず自殺は様子をみよう。思い切って母に打ち明けてみることにした。
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