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「明日休みですし、がっつり呑みでも良いですよ」
「翔太の奢りだしな」
ニヤと唇の端を持ち上げながら俺を見上げる。主食が酒みたいな人だからこうやって酒をチラつかせただけで簡単に釣れてしまう。だから酒さえあれば他の奴にもほいほい付いていってしまうんじゃないかって、それはそれで不安になる。
「なんなら、俺んち来ます? そのまま泊まってくれても良いですし」
「ああ?」
途端に不信感丸出しな声が上がった。
「1Kなんで狭いッスけど。ベッドだって使ってもらって構わないっスよ」
頭の中で「一緒に寝ても良いんですけど」と続けた。
「お前、その……」
神林さんの表情が曇り、もごもごと口籠もる。
「何スか?」
俺は伸びそうになる鼻の下を一生懸命引き上げながら、低い位置から睨んでくる瞳を見る。サラサラの前髪が額に落ちていて、やっぱり触ってみたいなと思う。
「この間みたいな……その……変なことしねぇだろうな」
ドスの利いた声を出すその顔は、頬がほんのりと上気していた。
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