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「変なことって何スか?」
多分あの指へのキスのことを言ってるんだろう、空惚けて意地悪く聞いてやれば、目元まで赤くして「何でもねぇよ!」とそっぽを向いてしまった。
(少しは意識してくれてるのかな)
本当はもっと揶揄ってやりたいけれど折角の約束(?)が反故になっては意味が無い。俺は顔の横で両手を広げて降参のポーズをした。
「何もしませんって。俺は神林さんと一緒にメシが食えればそれで良いんスから」
「…………」
ムスっと唇が曲がる。神林さんの頭の中は「美味いただ酒」と「信用ならない俺」の間でふらふら揺れているに違いない。
「決まりっスね」
また答えを待たずに決めてやる。この人に有効なのはこういうタイミングの良い強めの押しなのだ。
「ばっ! まだ行くとは言ってねぇだろ!」
「奢りますから」
ね、と首を傾げれば、チッと舌打ちが返ってくる。
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