俺の栄養素2

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「翔太は何してんだ?」  普段よりは僅かに優しい瞳が俺に向けられている。 「俺っスか? 俺はドライブ行ったり、サーフィン行ったりしてますね。一人でいるのあんま好きじゃないんスよ」 「お前、ダチ多そうだもんな」 「そんなこと無いっスよ。普通っス」  大学のゼミ仲間とかサーフィン仲間とか、声を掛ければ集まる友人は山ほどいる。だからと言ってそいつらが全員親友と呼べるかっていうとそんなことはない。楽しい時間だけを共有しお互いに深いところには足を踏み入れない、上っ面だけの友人だ。 「彼女は……あ、いや。いないんだっけか」 「振られました」 「……そか」  神林さんはレモンサワーの青い缶をちびちびと呑みながら、ゆらりとテレビに視線を流す。その画面には先ほど神林さんが適当にザッピングしたお笑い番組が映っていた。
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