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(それにしても綺麗な顔してるよなあ)
長い睫毛に彩られた瞳は僅かに伏せられていて、何て言うかな、大人の憂いみたいなものが感じられる。それに煩く騒がない唇。口は悪いけれど俺みたいに冗談を言ったりおちゃらけたりはしないから、一言ひとことが重く、硬派で格好良い。あとは酒を飲み下すときの長い首。喉仏がゆっくりと上下するだけで、大人の色気がムンムンっていうか。
(なんで女いないんだろ)
身長は少し低いけれど、これだけ整った顔をしているんだから絶対モテるに違いない。それなのに彼女は「いない」と言う。上手くやれば二股三股だってやれそうなのに、何で独り身でいるのか分からない。
(めっちゃ条件が厳しいんかな?)
モデルとか女優みたいな美人じゃないと許せないとか、三歩下がって男を立ててくれるような女じゃなきゃイヤだとか。実は独占欲がめっちゃ強くて他の男と目を合わせるのも許せないとか、意外とそんなこともあるのかもしれない。
(自分のことだけを見てて欲しいっていうなら)
「俺、悪くないと思うんスけどねぇ……」
意図せず声に出して呟いてしまうと、テレビから顔を戻した神林さんと視線がぶつかる。
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