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「おはようございまっス」
神林さんは視線こそ合わせてはくれなかったけれど、「ああ」といつも通りの不機嫌そうな挨拶を返してくれて安心した。昨日の今日だ。俺だって緊張する。
「おはよ」
俺たちの間の席の坂戸さんもいつも通り挨拶を返してくれた。俺は「っス」と頭を下げ、足元に鞄を置いて椅子に腰掛ける。
「今日もばっちり立ってんね」
坂戸さんは笑顔で自分の前髪を摘まんで立ち上げる真似をした。俺もニカと笑って「ったり前っスよ」と顎を持ち上げる。
「格好良い俺を見て貰いたいじゃないですか」
坂戸さんの後ろの横顔に視線を送りながら言ってやると、神林さんは俺たちと反対側を見るようにして後ろ頭を向けた。さらさらとした髪の毛と刈り上げた襟足。いつかあの髪にも触ってみたい。
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