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間髪入れずに断って、僅かに落ちた前髪の間からじとりとした半眼で俺を見上げてきた。サッパリバッサリな人だ。だからって俺も簡単に諦めたりはしない。
「予定がある訳じゃ無いんですよね? どうせまたコンビニで済ますつもりなんでしょ?」
「イチイチ失礼なんだよ、お前は」
「俺もコンビニになりそうなんで、それなら一緒に良いもん食いませんかっつーことっスよ」
「良いもの? お前の奢りか?」
片眉が吊り上がる。
「一緒してくれるんなら奢りますよ」
そうだなぁとまた正面を向く。俺と違ってちゃんと金も持ってるだろうから奢りかどうかなんて関係無いはずだけど、これは神林さんの中で折り合いを付けるための条件なんだろう。
俺は顔の横で人差し指を立てる。
「じゃあ決まりで」
「まだ返事してねぇだろうが」
「何食いたいですか?」
神林さんは「ったく」と呆れた声を出したが、「酒飲めれば良いからなぁ」と呟き始める。何だかんだで押しに弱い人なのだ。
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