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「そのシトロフォートの開発、もっと早くならないの?」
「我々も急いではいるのですが、水面下での行動は制限が多いんです」
「都合が悪いとそればっかりね」
ロボット犬に唸られながら芝生を歩いていくアンドロイドを青い扉から見送る。
頬にあった刻印がないと、本当に人間と見分けがまるで付かない。パトカーの中でハンバーガーにかぶりついている警察も、まさかアンドロイドがすぐ横を通り過がっているとは思いもしないだろう。
掃除でもしようか。
ギルダは玄関に戻り、青い扉を閉めようとした。けれど気がついた時には足が外へ向いていた。
「キリエ!! お願い、かえして……ユリシーズを返して……!!」
外ではアンドロイドの話をしない。そうしなければまた警察が家にやってくるから。
でも、たえられない。
「んあ、なにがあった? 奥さんなにか盗まれたのか?」
「いいえ、いいえっ……あの子の意思なの、私は、でも……嫌、ユリ、ユリ……!!」
少し目を離した隙に、キリエは小さな影になっていた。警察の言葉を無視して追いかけるも、瞬きする度に小さくなっていく。
もう会えないかもしれないという不安が、1人になった途端加速する。
ユリシーズの身体を壊した時も、警察に「これで全部だ」と嘘をついた時も、同じような感覚がギルダを襲った。
なぜ、エラー品なんて呼ぶの。
なぜ、アンドロイドに心があってはいけないの。
なぜ、ユリシーズは私のもとから離れていくの。
「ああ、ああっ……ユリ、ユリ……っ、いかないで」
あの子はただ、私たちのために生きてくれていただけなのに。
繧ュ繝弱た繝ウの復元を再開。
18%。
22%。
24%。
27%。
エラー。
復元プログラムに問題が発生しました。
復元を中断します。
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