ドラマにはならない

就職活動(しゅうかつ)が始まった頃、一宮が言った。
「好きな人ができた」
「……ふーん、そうなんだ」
あの時、私はちゃんと笑えていたかな？

私より圧倒的に経験豊富な一宮には、もう私のアドバイスなんて必要ない。同じゼミのその子との進捗を毎日メールで聞かされ続けた。

だから決めたんだ。
今度こそあんたと離れようって。