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床に散らばった書類も拾い上げず、ヴィルフリートはオリーヴィアが持ってきた一張羅を手に取る。
「おや珍しい、夜会にご出席なさるのですか」
「今日のオリーヴィアはさすがに呆れた顔をしていた。これで欠席しては合わせる顔がない。建前が整い次第切り上げるから根回しをしておけ」
さすがオリーヴィア様、とグスタフは内心で拍手した。こうと決めたら梃でも動かないが、オリーヴィアの困った顔ひとつあればヴィルフリートはちょろい。あらかじめ伝えておいてよかった。
「承知いたしました。ところで殿下、夜会に出席なさる前にお伝えしておきたいことがございます」
「手短に済ませろ」
「本日の夜会はオリーヴィア様にも出席するよう命じておきました」
「貴様ほど敏腕な側近は他におるまい!」
ヴィルフリートは素早く着替えを済ませ、執務室を飛び出した。
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