テラ引越し

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あれよこれよと言ううちに引越しを終えて、入居した新居は拍子抜けするぐらい普通の家で。 ごくごく普通のアパート。名前は「エリアジャパン荘」そこは目を瞑るとして。 確かに外見は古い建物で、暗く見えたが中は普通。室内はフローリングで変な染みもない。綺麗。ベランダの扉もちゃんと開く。水回りも清潔。変な匂いもない。 お化け屋敷な家でも仕方ないと、腹を括っていたのに。 「あの不動産屋。言動はおかしくてもまともだったとか?」 先に運んで貰っていた、ダンボールの荷解きをしながら考える。 何か、古代遺跡からの電磁波が。 行方不明者がどうしたとか。 「そんなの。安い物件に飛びつくワケあり人だから、何か突然出て行く理由とかあるんだろう」 俺はそんなこと絶対にしないけどな。 意地でも自分の力だけで大学を卒業して、自立するんだと心に誓いながら、さくさくと手を動かすのだった。 そして、その夜。 大方の荷解きを終え。 引越し蕎麦にあやかって。安売りの蕎麦のインスタントカップ麺を食し。薄い煎餅布団に潜り込んで早めの就寝をするのだった。 眠りに落ちる直前に。 みょんみょんみょん……と、金属の薄い板を上下に振っているような──妙な音がしたのだった。 ふと、気になり。目を覚ますと。
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