『君だけのために』

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それから2人の携帯を並べてピアノの音を録音した。 「歌ってるのも録ろうよ」 長屋君はそう言うと、棚に携帯を立てて録画ボタンを押した。 「いい?」 「いいよ」 長屋君が息を吸う。さっきと同じ様にして私たちは歌った。 『大切だと思えた 形のない瞬間(とき)のかけら (きみ)とつくる この世で たった1つのストーリー』 一度目とは違う。 "君"を長屋君と重ねながら歌った。 自分がこんなに単純だったなんて驚いた。 だけど仕方ない。好きだと思ってしまったんだから。 好きになってしまったんだから…。
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