『君だけのために』

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清花(さやか)?」 「え⁈」 「どした?」 前の席の未央がずっと私を呼んでいたらしい。 「あ、ごめん。ぼーっとしてた」 「で、どこ入るの?部活…」 「合唱部に入りたいなーとは思ってるんだけど」 「へぇー…合唱?意外ー」 「意外?」 「何か運動部のマネージャーとかやるイメージだった」 「えー⁈そんなの考えてもなかったよ」 「彼は軽音?」 「彼?」 「元晴」 「…元晴って」 「あの辺みんな楽器やってるみたいだし。奥の背が高いの、あいつ中学の時からドラムやってたし」 「…そうなんだ」 「楽しみだね、後夜祭‼︎」 「あぁ、バンド盛り上がるんだってね…」 「元晴ならすごい事やってくれそう。楽しみー」 チャイムが鳴って、未央が前を向いて座り直した。先生が入って来て、みんなが一斉にお辞儀をする。 それを目に映しながら意識は別の場所にいた。 みんな、元晴って呼ぶんだ?
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