『君だけのために』

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長屋君にしてみれば、たまたま同じクラスにピアノを弾ける私がいた。ただそれだけの事だ。 だって長屋君は、そういう人だから。 そこにいたのが私じゃなくても、彼が"好きな子を想って作った歌"は出来上がっていただろう。 でも、それでも… 私は長屋君と一緒に曲を作れて楽しかった。嬉しかった。声をかけてもらえて良かった。 それだけで、もう充分だ。 長屋君と一緒に、ちゃんと"青春"できたんだから。 私にとっても長屋君は、夢を叶えてくれた大切な人だから… つまらない嫉妬でこのまま話せないままなんて嫌だよ。たとえ叶わない片想いでも…。 そう思ったのに、上手くいかないもんだな…。あれから長屋君とは話せないままだ。 ずっと見ているのに、全然こっちを向いてくれない。 もうすぐ夏休みになってしまうのに…。
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