『君だけのために』

21/32
前へ
/32ページ
次へ
「清花ー‼︎」 「あ、うん…」 週1〜2回男バレでカラオケに行くのがお決まりになっていた。 「未央、清花ー」 「先輩、毎回迎えに来なくていいですって…」 「あれ?声がするのにいねぇなぁー?」 「だからぁ、毎回肘置きにしないでって…」 先輩が笑いながら頭をぐちゃぐちゃにしてくる。 楽しく笑えている。 長屋君が側にいなくても…。 夏休みは想像以上に部活一色だった。 3年生たちの最後の大会を全力でサポートする日々はとても充実していた。 校舎脇の自販機に行くと、たまに軽音部の音が聴こえてきた。ジリジリと照りつける日差しの中、目を閉じて長屋君の声を探す。 蝉の鳴き声を掻き分けて…長屋君の声が聴こえてくる。 私たちはそれぞれの場所で、それぞれ青春の日々を過ごしている。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加