『君だけのために』

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夏休みが終わるとすぐに9月末に開催される文化祭の準備に入った。 なかなか決まらない実行委員はくじで決める事になり、男子は男バレの伊崎昌也(まさや)、女子は佐伯さんに決まった。 「ムリー」 遅刻早退常習の佐伯さんはアレコレ理由をつけて一度も委員会には出席しなかった。 見かねた私は同じ部のよしみで色々と昌也の手助けをしていて、いつの間にか委員会にまで出席する様になっていた。 「なんかごめんな?」 「いや、もう仕方ないよ。この際だから一緒に頑張ろう‼︎」 こういった貧乏くじは今に始まった事じゃない。雑用、手伝い、片付け… なぜか昔っから気づくといつもこうだ。 うちのクラスは部活動の出店や軽音部、演劇部で殆どが出払う。そのためクラスでの出店はやらない事になった。 その代わりに私と昌也は連日入場門設営やポスター、チラシ作成その他の雑務に追われ殆ど部活に参加できずにいた。 成り行きで参加した実行委員だったけれど、設営が終わった時の感動は忘れられないものになった。 絆創膏だらけの指も、ペンキで汚れたスカートも、全てが報われた気がした。 「明日、明後日2日間…目一杯楽しもう‼︎」
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