『君だけのために』

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14時、未央と一緒にライブを観に行くと、会場は想像以上の人で賑わっていた。 席はもう空いていなかったため、後ろの方に並んで立って観る事にした。 ガールズバンドの演奏が終わり、入れ違いで長屋君たちがステージに出て来た。 「嘘⁈長屋君ギター持ってる…」 「へー、サマになってんじゃん」 『アリアナでーす。3曲歌います』 何かのゲームのキャラクターの名前がバンド名の由来らしい。 ドラム、ベース、ギター、そしてギターボーカルの4ピースバンドアリアナは流行のポップスと、親世代から色褪せないミディアムロックを2曲立て続けに歌い会場を沸かせた。 ロングトーンが揺らぐが、それがなんとも言えない長屋君の魅力だ。 「元晴ー‼︎」 たくさんの歓声に笑顔で応える。 見慣れた顔が幾つかあった。私の憧れだった中学時代のあのメンバー。 あの中に、いるのかな?好きな子が…。 長屋君の歌う片想いの歌。 叶わないとわかっていても消せない私の想いと歌詞が重なり合って切なくなった。 長屋君から目を離せなかった。
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