エイプリル・フール

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「ねえ、今日なんの日か知ってる?」 「おまえん家で花見すんだろ」 「それはそうでしょ。今、その準備してるんだから。そうじゃなくて――」 「あ、あれか。誕生日だっけ?」 「違うでしょ!」 「んじゃあ、なんとか流星群の日だ」 「バカ。全然当てる気ないじゃん! 4月1日だよ? わかんないの?」 「ああ、そうか。春休みのど真ん中」 「……もういい。あんたにはお肉あげないから」 「ハハ、冗談だよ。エイプリルフールって言ってほしかったんだろ?」 「そうだよ。ホント、いじわるなんだから」 「ていうか、そもそもエイプリルフールってウソでしたってオチで使うもんなんじゃないの? ネタバラシからしてどうすんの」 「甘いわね。エイプリルフールってわかってるからできることもあるのよ」 「ふーん。で、それは一体なんなの?」 「私のこと好きって言って」 「……は?」 「いいじゃん。エイプリルフールなんだから。ね?」 「バカだろ、おまえ」 「なによ。そんなに怒ること?」 「ホント、バカ。信じらんねえ。そんなこと口が裂けても言えないわ」 「え……?」 「おまえのこと大キライならいくらでも言ってやれるけど」 「それって……」 「そ。エイプリルフール仕様」 「っ……嬉しいのになんかムカつく」 「ハハ、その言葉そっくり返すわ」 「ねえ、それ本気で言ってる……?」 「まあ、明日確かめてみれば?」 「やっぱりいじわる……」 【エイプリル・フール 終】
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