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魔女仁科佐和子
「あらリン、遅かったのね。どこに行ってたの?」
黒猫リンはすまし顔。
かすかにホッケの香りが漂っているので、西 令草邸辺りだろうと想像はつく。
「いつもお世話になってるものね。令草さんには今度万能薬でも差し入れなくちゃね」
黒猫リンの飼い主、仁科佐和子27歳。
何年経っても27歳。
恐ろしいほどに使い込まれた大鍋をかき回している。
万能薬がこれだとしたら、西 令草はどこか安全な場所に逃げなくてはならないレベルだ。
手にしたスプーンには頭蓋骨のようなものがくっついている。
手袋にも紫色のローブにも、魔女の帽子にも何かが宿っている。
仁科佐和子は魔女と呼ばれている。
例えではない。
マジックショップを営む本気の魔女である。
手品グッズ、おまじない用アイテム、護符、パワーストーン何でもあり。
【よく効く佐和子さんおふだ】
西 令草の占い屋は知る人ぞ知る穴場だが、魔女ショップは口コミを最大限に活用して流行っている。
しかも効く。
夜泣きに恋の病から神経痛まで。
あかちゃんも悩める中間管理職も。
この街の住人は一度は仁科佐和子のお世話になっている。
色々とかき回さないといられない癖を除けば、老若男女から愛されている。
もう一度言っておこう。
27歳である。
【発掘された佐和子さん開運ぬりゑ】
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