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JKゆづ
とある北の街で生きるJK。
彼女たちのスカートとソックスの護りがない部分がどういう仕組みになっているのかは、西 令草のタロットカードでも占えないだろう。
JKゆづは軽く舌打ちする。
寒くないのなどと頭の煮えた愚問をぶつけてくるジジババはくたびれた全毛穴からツララが生えればいい。
そんなもの氷点下でも凍らない気合で成り立っているに決まっているではないか。
そしてもうひとつ。
「あらゆづちゃん。今日は何にする?」
マジックショップはいつでも謎に快適な気温だ。
そして店主の佐和子さんはとても優しく怪しい。
「ねえおばさん、例のあれちょうだい」
ぶっきらぼうなJKゆづの言葉に他の客が凍りつく。
暗黙の了解とか口にしてはいけないとか命知らずとか、そんなつぶやきが店内を駆け巡った。
「ああ、あれね。冬の女子高生の必需品オーバーパンツ!略してオーパーツ!」
【オーパーツ=時代錯誤遺物、場違いな加工品】
仁科佐和子の高らかで麗しい声に呼応するように、不思議な効果音が鳴り響いた。
「そこで声張らない!音も鳴らしちゃだめ!略おかしいから!」
店内にいる客の視線に身をよじりながら、JKゆづはツッコミを忘れない。
「渾身の新作なのよ」
「おばさん力入れるとこ間違ってるからね。やだよこんな冷たそうなのおばさんが穿きなよ」
命を賭けた連呼だと誰もが思った。
「令草さん監修のぱんつ占いつき遠赤外線練り込みあったか素材なの。ちなみに腹巻とマフラーとタイツにブーツもあるのよ」
JKゆづは挑戦的な目つきで仁科佐和子と対峙した。
「全部ちょうだい」
クールすぎるJKゆづは魔女仁科佐和子の姪である。
なんか生えてきた。
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