算段

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「君はどうしてカレンダーを作ろうと思ったんだい?」 「えっと……情けない話だけど、時生と距離を置いていて、それをイヤがった時生が縁を切りたいんなら何かを作り出せと言われたからです」  僕は速軍の隣にもう一つ速軍を作る。校長先生は速軍を隣の軍に重ねて最速軍を作る。 「君らは絶交するのかい?」 「いえ……。僕の一番の理解者は時生だと気付いたから仲直りしました」 「それは良かった。カレンダーの話を持ちかけてきてから少し君らの話を聞いてみたんですよ。春樹くんも時生くんも得意なことを活かしてカレンダーを作ったんですね。私たち教師が生徒に向けて自主性をと言っても、生徒が動かないと私たちは背中を押すこともできない。今日、君らが起こしたことは他の生徒にも影響を与えるでしょう。お礼を言います。そしてこれからも何かを生み出してください。私たちは、少なくとも私は応援します。春樹くん、時生くん、さくらさん、竜太くん、隼人くん、本当にお疲れ様でした。では正々堂々と勝負といきましょうか」  カレンダーお披露目イベントの日の僕と校長先生の勝負は僕の勝ちで終わった。また普通の日が始まる。時生は文化祭でもやるんだ! ともう意気込んでいる。そのために僕はまた時生の家に通って文化祭用のカレンダーを時生と作っている。  黙々と作業しながら、僕は時生の顔を伺ってある提案をする。 「ねぇ時生、提案があるんだ」 「何? なんか新しいアイデア?」  本当にワクワクした目で時生は僕を見つめてくる。 「カレンダー部を作ろうと思うんだ。時生も参加してくれるよね?」 「もちろん! カレンダー勝負の部活か?」 「それもあるけど、カレンダーを広めることと、あと大会とか開けたらいいなって。カレンダー以外にアイデアを持っている人がいたら、それを実現させることも活動にしようと思う。どうせさくらたちは間違いなく入ってくれるからさ」 「いいじゃん! でも一つだけ変えて欲しい」 「何を?」 「部名をカレンダー部じゃなくて、算段部にしよう! カッコいいだろ?」 「カッコいいというか不穏だね」 「それがいいんだろ! 春樹が部長で俺が副部長だ! 頼んだぞ相棒!」  僕は答えずにフッと笑う。時生、君といればまた新しい何かを作れそうだ。そんな予感は確信がある。  僕らの夏ははじまったばかりだ。
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