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学校では、さくらたちと一緒だが時生と仲直りしてからは下校後は毎日時生の家に通っている。時生は駒のデザインを何個も考えて木材を使って、何個か駒を試しに作っている。僕も時生も妥協する気はない。できるならは色んな人に気に入ってもらえるように。沢山遊んでもらえるように。
そのための木材も用意してあるし、そのためにお互い協力もする。
一番最初にできたのは盤だった。その名称は算段盤と僕らは名付けた。盤上で算段を組む。カレンダー盤でも良かったが言葉の響きで自然と算段盤と呼んでいた。
「足があるほうがいいよな?」
「重ねやすいけど、作業が大分細かくなるよ?」
「その辺は任せておけよ。春樹は色や文字考えてくれよ。白黒とか安易に言うなよな?」
「読まれているなぁ。青と黄色にしよう。字は軍と帥にしようよ」
「了解。でも、一つのものを二人で作るってはじめてだよなぁ」
「うん。中学時代はお互いに好きなものをそれぞれ作るだけだったからね」
この数日、時生は僕がどれだけすごいかを彫刻刀とノコを手に力説していた。僕も僕で時生の才能がどれほどなのかをこんこんと時生に話し込んでいた。その結果、お互いの特技を存分に活かしたカレンダーを作ろうという結論になった。まだ先生には話していない。一度できあがったカレンダーで先生に遊んでもらってからイベントを開催したいと伝える予定だからだ。
それと並行して竜太と隼人はビラのデザインを起こしている。さくらはビラのイラストを描くと言っていた。さくらのイラストの腕前は知らないが協力しようという気持ちは無碍にできないし、重要なのはイラストの上手い下手じゃない。イベントでどれだけカレンダーを盛り上げられるかだ。僕らは主役のようで主役じゃない。主役はカレンダーだ。僕らはカレンダーの舞台裏でしかないのだ。
「こんなのどう?」
時生が何度目の試作品の駒を見せてくる。丸い駒で足が三本ある。足は下に向かうほど細くなり、まるで昆虫のようだ。
「これがいい! カッコいい」
「いえーーい!」
時生が両手の手のひらを見せる。そこに僕は両手をパチンと打つ。
「流石、時生だ!」
「あとは色付けだな。どんな感じにする?」
「青と黄色を全体に塗って表面に白い円を描いて、その真ん中に青と黄色で軍と帥の文字を入れよう」
「レイアウトはどうする?」
「筆文字みたいに荒々しいのが僕は好みだ」
カレンダーの完成は近づいていく。それより僕にとって時生との時間が復活したことが嬉しい。本当に僕は愚かだった。一緒に語り合えて熱中できる時生のような友達にこの先会えるかどうかも分からないのに。
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