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もちろん、こちらからも反撃に出た。
「だったら、児玉。お前も料理係となって料理を作れ!」
児玉に指先を向けて、命令口調で言葉を放つ。
しかし、児玉には重要なかつ楽な任務があったのである。そう、それは買出し係。
彼の家は商売をやっているので、安く飲み物を売ってくれ、かつ差し入れしてくれるというのだ。あえなく撃沈。
けれど料理係には、麗子さんも配属されたことで、心中は少し穏やかになった。
麗子さんはふわふわとしていて、とても柔らかな空気をまとっている女性である。他クラスにおける男子人気はとどまることを知らない。それに反感を覚えている女子生徒もいるのだが、少なくともこのクラスにはそういう類の女子生徒はいない。
だから麗子さんに憧れを抱いている。
麗子さんだけが本名で呼んでくれるのも理由の一つかもしれない。
そして第二回ホームルームは無事終了。
放課後――。
部活に出るため、そそくさと教室を出ようとした。ところが麗子さんに捕まってしまった。
「若宮さん」
麗子さんの透明な声で呼び止められたのなら、素直に従う。
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