組長のお花見大作戦

　組長――。
　みんなからは、そう呼ばれている。

　高校に入学して、十日程経った頃からそう呼ばれ始めた。
　誰が最初に呼び始めたか。それはよく覚えている。
　右となりの列の、三つ前の席に座っている児玉(こだま)である。
　児玉とはこの高校で出会った。出身の中学は別。
　入学早々のホームルームで、担任から委員長に任命された。そして、副委員長が児玉だった。
　その十日後、児玉からいきなり組長と呼ばれた。
　それからというもの、クラスのみんなからも組長と呼ばれ、さらに隣のクラスの奴等からもそう呼ばれる始末。
　それから一年、クラスメートも全員無事進級し（危うい人物も何名かいたが）、二年生となったわけである。
　一年間勤めた委員長という立派な座は、見るからに女受けしそうだけれど名前は平凡な佐藤という男子生徒に受け渡した。そして副委員長は、麗子さんという見るからに麗しい女子生徒が指名された。
　まさしく、美男美女のツーショットである。

　さて、今年度最初のホームルームの第一回のテーマは「お花見」である。