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四話
それから俺は更に努力した。
勉強に費やす時間を増やすのはもちろん、上郷のことは冷たくあしらった。
「最近機嫌悪いな。何かあったのか?」
「黙れよ。必要最低限、俺に構うな」
「寂しいこと言うなよ〜」
「チッ・・・・・・」
上郷は相変わらず人当たりの良い笑みを浮かべて、俺に話しかけてくる。
その様が俺の自尊心を傷をつけているとは、夢にも思わないだろう。
「また柊弥を無視しやがったよ」
「あのガリ勉野郎、何様だって話だよなァ?」
上郷とつるんでいる奴らが、わざとらしく俺に聞こえるように声を上げる。
「俺は別に気にしてないよ。優希は恥ずかしがり屋だから、な?」
「・・・・・・・・・・」
もはやこいつは、俺の機嫌を悪くさせる為にわざとやってるんじゃないのか?
擁護と呼ぶにしては、あまりにもおこがましい上郷の言葉を、問題集を解くことで無視した。
最近変わったことがあるとすれば、俺の態度をよく思わないクラスメイトが増えたことだ。
辞めろと言っても上郷の方から勝手に話掛けて来るのだから、当たり屋みたいなものだ。
別に同級生にどう思われようが知ったことでは無いので、上郷と一緒に無視することにした。
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