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私には誰にも言えない秘密がある。
そう、それは架空の双子のメリーがいること。どちらが姉か妹かは決めていない。そもそも聞かれたことがなかったし、聞かれた時に考えようと思う。
私達は王立学園に通う4年生だ。学園生活も今年で最後。
授業は選択制なので、なるべく被らないように調整している。それでも被ってしまう科目があって、その科目の時はどちらかが理由をつけて欠席している。
私達が一緒にいる所を見たことがある人はいない。そもそも存在しないのだから不可能なのだけど。
私達は犬猿の中で、一緒にいることはタブーだと認識されている。
そもそもどうして架空の双子を演じているのかというと、昔、私には双子の姉が本当にいた。
生まれた時から姉は体が弱く、幼くして亡くなってしまった。
幼い私は、姉が亡くなったことが理解できず、しばらく寂しくて泣いていた。
でも、そんな私を見ると両親はもっと悲しみ、その様子を見て私も悲しくなるという負の連鎖だった。
そんな時レオは、毎日のようにうちへ来てくれた。我が家は男爵家であり、商売をしている。取引先の子供であるレオとは家も近く、幼い頃から遊んでいた。本当の姉のことを知る数少ない人物の一人だ。
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