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尊大極まる温羅の姿を、屁とも思っていなさそうなおっさんが、温羅に平然と話しかけた。
「ああ。お前が温羅か。鬼の王で、裏で壇ノ浦水産とか言う会社を経営している。要するに、百済の王子がキムチの輸入だと?何してんだお前は」
それが挨拶?ほぼ殴りかかってるわよ?
挨拶より先に、どうしても気になっていたらしかった。
はっきり言うわよ?ほぼ同じ気持ち。
ところで温羅は、初対面でいきなりキムチの話されて、怒った。
「前から思っていたのだ!朝鮮半島に百済があったのは認める!だが!今の下等な分裂国家は、百済とは一切関係がない!」
とりあえず、温羅は韓国が嫌いらしかった。
「なのに!恥知らずのエベンキ共が!しまいには、百済が昔下賜してやった仏像を盗む始末だ!百済は韓国だと?!馬鹿も休み休みに言え!国際協定を平気で遡及する嘘吐き共が!糞酒でも飲んでろ!」
「あー。そういえば百済は、エベンキ族が流入した新羅に滅ぼされたんだよな?巡り巡って半島に住み着いた連中は、漢人の奴隷を経て、旧帝国に併合された。小学校の時、やたらと朝鮮併合にうるさい教師がいた覚えがあってな?学校で日本語覚えさせられたとか、屈辱的なことをされたとか何とか。要するに、その子孫である俺達は、朝鮮に何されたって文句言えないって教室で宣言してたぞ。永井先生は今でも教師やれてるのかどうかは知らんが。あれだな?震災の時釘バットで朝鮮人殺しまくったらしいな?ホントかどうか知らんが」
五円15銭って言えないと死ぬ。とかおっさんが言っていた。
あー。まあ、その辺の話、「半島の妄言」って、授業参観でやった覚えがあるけど。
何故か、発表したくて手を上げたけど、最後まで指されないで参観が終わったのよね。
徹底的に闇に葬りたかったみたいね!この私の思想を!あいつ等地方公務員共が!
大体、大正12年の関東大震災直後に、6000人も集まらんでしょうよ朝鮮人だけが。
その当時、朝鮮人が何人住んでたのかも解らないし。
大正元年に約3000人ってデータがあって、12年だと8000人くらい?
しかも、6000人全員殺された?朝鮮人て携帯持った赤ピクミンか何か?って書いた覚えが。
虐殺事件の被害者で統計取ったことがあって。有名なのはアムリッツァル虐殺事件。
12000人の非武装民を、職業軍人が鴨撃ちにしたのよね?
それで、出た被害が約2000人。まあ10分の1強って感じで。
じゃあ、6000人殺された時、逃げた人間を計算すると、何と60000人?そんなに住んでたの?ホントに?
別に、機関銃持った兵隊とまでは言わないけど、棒持った暴徒くらいテコンドーで撃退しなかったの?万能壁画に描いてあったんでしょ?
ボーボー燃えた帝都に集合する奴等も、それを殺す日本人も凄いわ。何か、改造手術でもされてたの?大正政府ってショッカーか何か?
で、問題は、それで日本に謝罪と賠償って、いつもの奴やってる人間が、韓国にいない理由って。
金引っ張れないからでしょ?誰が殺されたかも解らない。遺骨もどこにあるのか不明だし。
騒いでるの、日教組とか、プロ市民めいた自虐史観の持ち主だけだから?
「で、お前はどう思う?田所」
振るな私に。困るだろうが。
「まあ、火事場のドサクサで馬鹿やった人間が、日本にも向こうにも何人かいたって話だと思うけど。それより、温羅さんは、どう思うの?」
「あんな下賤なエベンキ族なんぞ、全て打ち殺してしまえ!下手に生き残ると裁判だ何だと叫ぶだけだからな!」
はい決定。温羅はネトウヨ。
「大体!400年もかかって水車すら作れんような奴等はどうでもいい!それで!?何の用で来たのだ?!」
え?何か、満を持して現れた最強ボスが、面倒臭いネトウヨって。
「どうにも、思想的に迷走はしているようですが、貴方は強力極まりないオーガです。私は、百鬼姫と申します。いきなり来て申し訳ないんですが、貴方には、私の式神になって欲しいんですが――どうします?」
迂闊なこと言うと、斬獲されますけど。
おっさん見ると、あん?何してんの?ピタ止め?3秒5秒ってあれ?
「貴様は――テレビで拝見した。皇女であるな?万世一系の帝の血筋か。私は、人間でいた頃、帝の奸計に屈した。吉備津彦に追われ、首を刎ねられた。その後の、朝廷の反吐の出るようなネガキャンで、私は完全に悪者扱いされている!何故に、私が犬猿雉なんぞに負けねばならんのだ?!」
しかも、ごもっともなトラウマ負ってるし。
「俺なら、ピタ止めやりながらでも、斬隠しちゃうがな。骨すら残らんよ?温羅様あああ!って来た奴等もな?」
混ぜっ返すな殺気が凄いわよ?
「なるほど。杖男とその僕か。朝廷にも、お前のような者はいなかった。そうか、どちらか死ぬまで戦ってもいいのだが、私の配下はそうではあるまい。つい最近、麗しき鬼女、お円と所帯を持った者もいる。私も、今更鬼にとして猛りたくはないものだ。時に杖男殿、モノポリーはご存じか?あれは面白い手慰みだ。1つ、やってみようではないか。ただし、私は強いぞ?留学したアメリカでは、1度も負けたことがない。私に勝ったら、貴方方の軍門に降ろうではないか。負けたら――どうなるかは、解るな?」
温羅は、傲岸に言い放った。
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