パパとママとぼく

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 朝日が昇るのと同時にぼくは目が覚めた。カーテンの隙間から明るい日差しが差し込んでくる。  ぼくの右隣にはパパが、ぼくの左隣にはママがいた。ぼくがパパとママにはさまれて寝てるなんて、滅多にないことだ。  しばらくしてママが目を覚ました。 「おはよう」  そしてぼくをぎゅっと抱きしめる。 「大好きよ」 「ぼくも」  ぼくは久しぶりにママの匂いを嗅いでみた。石鹸のいい香りがした。 「パパは?まだ寝てるの?」 「うん」 「よし、起こしちゃおう」  ママは僕にまたがるようにして反対側に寝ているパパを起こしにかかる。 「パパ、起きて」 「うん…もうそんな時間か…」  パパは少し体を起こしてカーテンを開ける。 「いい天気だなあ」  ママはひとりベッドから降りた。 「ママ朝ごはん作るから、ふたりは顔洗って待ってて」 「OK」  パパは優しい笑顔で答える。 「そうだ、久しぶりにキャッチボールでもするか」  パパが僕に声をかけてくる。 「うん」  ほんとうになんて素敵な1日の始まりだろう。  こんな日が来るのは1年ぶりだ。  永遠に続いてくれればいいけどそうはいかない。  1年の中でも今日、4月1日だけはパパもママも優しくしてくれる。  明日からはまたパパに蹴られママに叩かれ、怒鳴られ、まともに食べ物も与えられない毎日が続く。  今日だけは幸福でいよう。  今日だけはなぜか体の痣の痛みも感じないんだ。  神様、ありがとう。               THE END
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