旅人の唄

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旅人の唄

 絡み合った運命の糸を  やわらかく紐解くひととき  宵闇にまたたく星々よ  どうか 見守っていて  正しくあろうと翳した正義は  深い茨の森を育み  抜け出せず 嘆いた夜すら  今はただ 抱きしめたい  優しい抱擁の温もりに  固く閉ざした蕾は綻び  捨て去ったはずの思い出が  心に導を灯してゆく  未熟なままで歩んだ道に  はらはらと薄紅の花弁がつもっていく  さようならでも、ありがとうでもない  あなたに贈る言の葉をさがして  美しい時間を愛でる  ひとときを慈しみながら  胸の奥でゆるりと芽吹く  名もなき花の息吹を感じながら  想いを奏でる旅は続いていく
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