彼女、欲しい?

1/6
前へ
/134ページ
次へ

彼女、欲しい?

今晩の夕飯は、ハンバーグとコーンスープ。 「候の作るハンバーグ、美味すぎ。最高」 抑揚のない声でそう言われるも、鏡のこの話し方はいつものこと。口調すらマイペースなのだ。でも付き合いが長いから、鏡が本気で喜んでくれているってことは、ちゃんと分かる。 「大袈裟だな、普通のハンバーグだぞ。まあ、褒められたら嬉しいけど」 「そもそも普通の料理が出来ることが尊敬だよ。俺、白飯に卵掛けることしか出来ないもん」 「ふりかけも掛けれるだろ」 「ふりかけってスーパーの何売り場に売ってるの?」 「海苔とかと一緒に売ってることが多いな」 こんなくだらない会話が楽しくて、そして何だかホッとする。 だからかな、彼女とかいなくても楽しいと思えるのは。 ……いや、彼女がいないのは俺がモテないからだし、本音を言えばいつかは欲しいけどさ。 でも、彼女がいなくても鏡がいれば楽しいと思えるというのは本当だ。 「……鏡ってさあ、今、彼女が欲しいとか考えることある?」
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

465人が本棚に入れています
本棚に追加