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彼女、欲しい?
今晩の夕飯は、ハンバーグとコーンスープ。
「候の作るハンバーグ、美味すぎ。最高」
抑揚のない声でそう言われるも、鏡のこの話し方はいつものこと。口調すらマイペースなのだ。でも付き合いが長いから、鏡が本気で喜んでくれているってことは、ちゃんと分かる。
「大袈裟だな、普通のハンバーグだぞ。まあ、褒められたら嬉しいけど」
「そもそも普通の料理が出来ることが尊敬だよ。俺、白飯に卵掛けることしか出来ないもん」
「ふりかけも掛けれるだろ」
「ふりかけってスーパーの何売り場に売ってるの?」
「海苔とかと一緒に売ってることが多いな」
こんなくだらない会話が楽しくて、そして何だかホッとする。
だからかな、彼女とかいなくても楽しいと思えるのは。
……いや、彼女がいないのは俺がモテないからだし、本音を言えばいつかは欲しいけどさ。
でも、彼女がいなくても鏡がいれば楽しいと思えるというのは本当だ。
「……鏡ってさあ、今、彼女が欲しいとか考えることある?」
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