彼女、欲しい?

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思わずそんな質問をしてしまうと、鏡はポカンとした顔で「彼女?」と聞き返してくる。 「う、うん。今日さ、大学の友達とそんな感じの話になって……」 「そうなんだ。俺は、彼女が欲しいと思ったことはないかな」 「そ、そうだよな!」 何か、安心した。鏡に彼女が出来て、俺と遊ぶ時間が少なくなったら嫌だしな! 「候は彼女が欲しいの?」 「え? いや、俺も別に……。まあ俺、誰とも付き合ったことないし、いまいち想像出来ないってのもあるけど」 「想像かあ」 「鏡もそうだろ?」 「確かに、俺も誰かとちゃんと付き合ったことはないかな」 「だろー?」 ……ん? ちゃんと付き合ったこと〝は〟ない? それって……。 「鏡って、もしかして誰かと付き合ってたこと、ある……?」 そう尋ねずにはいられなかった。 俺の考え過ぎであってくれと思ったが、残念ながら、その期待は裏切られる。 「一応、あるよ」 あるの⁉︎ 「い、いつ⁉︎」 「高校の時」 「マジで⁉︎」 「そんなに驚く?」 「だっていつも俺と遊んでたし、そんな気配なかったじゃん!」 「だから、候に報告するほどちゃんとした関係じゃなかったんだって」 「……」 交際経験が一度もない俺からしたら、ちゃんとしたとかちゃんとしてないとか、そんな違いもよく分からない。 というか、もしかしてーー。 「……鏡って、ひょっとして卒業済み……?」 「え? 高校はちゃんと卒業したはずだけど」 「高校じゃねえよ! だから、その……」 「童貞かどうかってこと?」 「そ、そう!」
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