幼馴染み

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幼馴染み

この男ーー奥野 鏡は、界隈ではなかなかの知名度を誇る、将棋界のプロ棋士だ。 中学一年生の時に日本将棋連盟の棋士養成機関である奨励会の入会試験に合格したのち、高校二年生でプロ入りを果たしている。 プロ入りしてから約二年。 中学生でプロ入りする者も珍しくはない世界のため、年齢だけで見たら、決して早いプロデビューではなかった。 しかし、そもそも本人が将棋を始めたのは小学五年生からだ。そう考えると、その躍進振りには驚くべきものがあり、鏡が世間で一目置かれている理由の一つでもある。 だがーー世間注目されている理由はその経緯だけではなくーー芸能人顔負けの彼のビジュアルも、その要因だろう。 切れ長の瞳は睫毛も長く、鼻筋の通った高い鼻、形の良い薄い唇。 一度も他の色に染めたことのない天然の黒髪は女性も羨むくらいサラサラで、知的な雰囲気をより際立たせている。 そんな奥野 鏡と、俺ーー待屋(まつや) 候の関係はというと…… いわゆる、幼馴染みである。
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