幼馴染み

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俺と鏡の実家は、フェンスを挟んだ真隣同士に存在する。 お互いに家の二階にそれぞれ自室があり、窓を開ければ部屋にいながら会話ができる程の近距離だ。 そんな環境で育ってきたからというのもあってか、俺と鏡は物心ついた頃から仲が良く、昔からお互いに一番の親友だった。 マイペースな鏡と、自分で言うのもなんだけれど生真面目な俺は、性格は全く違うけれど、子供の頃から喧嘩したことは全くない。 そんな俺達が小学四年生の頃、教育実習に来た女の先生が、休み時間に将棋を教えてくれた。 クラスメイト達は、皆すぐに将棋にハマり、そしてすぐに飽きていった。 そんな中、鏡だけは飽きるどころかどんどん将棋に夢中になっていった。 俺は鏡に頼まれて、しょっちゅう対局相手になっていたのだが……最初の頃は五分五分くらいの勝率だったものの、あっという間に俺は鏡には敵わなくなった。 俺では鏡の練習相手にはならないと思い、俺達はお互いの母親達の勧めもあり、近所の将棋教室に足を運んだ。 幅広い年齢の人達が、静かに将棋だけを指している環境。 当時の俺達と同じくらいの年齢の子供達もそれなりにいた。 その中でグングンと実力を伸ばしていった鏡は、一年も経たない内に教室内で一番の実力者となった。もちろん、同年代の子達の間でという話ではなく、大人達をも負かすほどだったし、時には先生にも勝つようになっていた。
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