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呼ばれて
「ほんと、まさか真が帰って来るなんて、びっくりしたわ」
車内で加奈子は祖母の容体が急変して亡くなったこと、急いで真の寮に電話して連絡がつかずにどうしようか迷ってたことを矢継ぎ早に話した。
「不思議だよな」
真は呟いた。
「遠く離れて連絡手段もなく、たまたま帰って来た。それも家に寄るつもりもなかったのに、急にグローブのことを思い出して偶然寄ることにした。そしたら丁度、おばあちゃんの所に向かう姉ちゃんたちの車に会ってさ。もう少し遅かったら会ってなかった訳だろ? そして何も知らずにこっちで楽しんで。多分そのままだったら寮に帰って始めて知ることになったんだよね」
「多分、そうなるわね。おばあちゃん、あなたのこと好きだったからね」
「そうだね」
寂しさを感じなかった。逆に心が温かくなった。
「きっと、おばあちゃん呼んでくれたんじゃないの?」
不思議とそうだと真は思った。
──呼ばれたんだな。会いたいって──
〈了〉
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