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ガリ勉でどこか暗くて人付き合いの苦手な"私"。
明るくスポーツマンなD。
正反対という言葉が似つかわしい私達が、仲良くなった経緯は未だ私の中で混沌としてている。
Dとの出会いは高校1年まで遡る。
かつて獣医学部を志した私は、取り立てて勉強と小説以外興味が薄かった。
加えてコミュニケーション能力も絶望的で、正に根暗の典型のような人間であった。
だから、クラスメイトも積極的に声をかけてこようとはしなかった。
しかし、入学から3ヶ月経ったある日、当時野球部のDがなんの前触れもなく、声をかけてくる。
「俺らと一緒に飯食わないか?弁当の中身見せろよ、俺のはのり弁!
母さんの作る卵焼きは甘くて美味いんだぜぇ」
私からすれば
『毎日通る、交通量がゼロに等しい交差点で、ある日急にトラックに突っ込まれた』
そんな感じの唐突さと衝撃を、思い切り食らった気分であった。
きっと非常に滑稽な顔をしていたに違いない。
「答えないってことはイエスだな。おーい、O!M君!コイツも一緒に飯食うって!」
その言葉とともに抵抗する暇もなく、引っ張られて行った。
そこにはクラス一の身長と体重を誇る、穏やかさを絵に描いたようなMと、日焼けた肌に髪をワックスでツンツンにした威勢のいい男、Oがいた。
どうやらよく小説を読んでる姿を見られていたらしい。
彼らも同じ小説が好きだったらしい。
他にも漫画やアニメの好きな傾向が非常に似通っているらしく、それで声をかけてみたらしい。
それ以来、高校卒業までクラスが別になってもどこかに集まってはお昼を共にした。
たった一度お昼に誘われたことから、仲良くなりそれがこんなにも続くとは当時思ってもいなかった。
以上が私たちの仲良くなった流れである。
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