あなたのために嘘を叫ぶ

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「絶対に、絶対に嘘をついちゃダメよ!」  朝ご飯とお昼ご飯を食べた僕は、丘の上の小学校のグランドに向かった。  小学校に到着すると、既に仲良しの6人がコンクリートで作られた山のアスレチックジムのてっぺんに登っていた。  長い滑り台やトンネル、うんてい、壁登りなどを楽しむことができる、通称『忍びの山』。  忍びの山のてっぺんからは僕たちが住む町が一望出来て、みんなのお気に入りの場所なのだ。  てっぺんは普段、6年生が占領していたので滅多に登れなかった。だから、今日から僕たちが6年生だ!という事で、絶対に4月1日に登ろうって約束をしていた。 「キャハハハハッ!本当に千早は寝坊したんだぁ!」と由奈。 「朝、由奈が『私、昨夜千早に睡眠薬を飲ませたから昼まで起きないよ』なんて言っていたけど、本当なのか!?」と大悟が僕に詰め寄る。 「嘘だよ!昨日は由奈に会っていないし!そもそも小学生の僕らがどうやって睡眠薬なんて手に入れるのさ!」と俺は言いながらも、僕が寝坊したのって由奈がついた嘘が現実に…ってやつのせいなのか!?とビビる。 「でも本当に寝坊したんだろ。これも政府に報告しなきゃいけないかぁ?」とスマホを片手に成海が悩む。  発生条件を割り出すために、少しでも多くの事例が欲しいと政府が訴えているらしい。
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