夜空を見上げて

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夜空を見上げて

 ギシギシギシ……と木床を歩く音。    ふぅ……。  軽く息を吐いた彼女。    温暖色の灯りの下、エプロン姿の彼女は マグカップを両手で握ると窓辺に歩き出し、 窓際に置いてある四本足の木目の椅子の上に マグカップをそっと置くと、建付けの悪い 窓枠に手を伸ばし、拳を握るように両手で 今夜も窓枠を掴み勢いよく上に押し上げた。  ガラガラガラ……。  鈍い音とともに、夜の冷たい風が部屋の中に 吹き込んできた。  少し湿気を帯びた外気臭と排気ガスの匂いが この場所が都会の片隅であることを教えてくれる。  窓辺から身を乗り出すように、彼女は夜空に輝く 星々を見上げると、そっと目を閉じた……。  少し遠くからアスファルトを歩く靴音が 聞こえてくる……。    
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