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近づいて来るアスファルトを歩く靴音が止まった。
彼女がゆっくりと目を開けると、
そこには、キャップを深く被った黒いパーカー姿の
男性が彼女のいる窓辺を見上げていた。
少し驚いた彼女は思わず、
「こんばんは……」
とその男性に声をかけた。
すると、男性も、
「こんばんは……今夜も星が綺麗ですね」
と彼女に声をかけた。
深く被ったキャップの下からは、
彼が、僅かに微笑んでいるように見えた。
「じゃあ……」
彼は、彼女を見ると軽く会釈をして
その場を歩き去った。
ガラガラガラ……。
今夜も古びた窓枠が下ろされる音がする。
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