さくら色

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筑波先輩が走って行ってしまっていたけど。 私は、人だかりを、 遠くから見てることしか出来なくって。 私も悲しいけど、 私以上に、筑波先輩の気持ちを考えると。 私は、 ──────筑波先輩に何も言えなかった。 〝何か〟声をかけてあげたくても。 私なんかじゃ、全然だめだって分かるから。 何も言えないまま、2年が過ぎた。 筑波先輩が27歳で、私は25歳。 さくら先輩が亡くなった時と同じ年齢になった。 (ねぇ、さくら先輩? 私、何か言ってあげられないかな?) そう、心の中で問いかけたと同時。 「ふっ、花びら、ついてっぞ」 私の頬に手を伸ばして、 少し笑いながら、指摘してくる筑波先輩。 「〜〜っ、ひ、ぇ、」 〝頬に手が触れる〟なんて。 今まで経験したことがない............っ。
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