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だから、
驚いてドギマギしていると。
「.........さくら色、」
私の目を真っ直ぐ見つめてくる、筑波先輩の瞳。
その声も、顔もどこか切なげで。
ひと言で言うと、
──────無理をしている。
そう直感的に感じて。
「.........、無理、しないでくださいね?」
先輩から目を逸らさずに、伝えた。
2年間、言いたくても、
言えなかった言葉だから、自分でも言えたことにビックリしていると。
「......、ほんと、さくらに似てんな、園田は」
そう言って、
頬にあった手を、ポンッと頭に乗せる筑波先輩。
「ぅ、そんなこと、」
「なんか、これからは園田に元気貰えそうだわ」
「.........ぅ、何も出来ないです、よ、」
「ふっ、そーゆうとこだよ」
「っ、そういうとこって言われても、」
「ふっ、いつか、分かるんじゃねねーの?」
筑波先輩はそう言って、満足げに笑うと、
私の頭の、髪を思いっきりわしゃわしゃした。
たぶん、今日の筑波先輩の笑顔は。
満開のさくらと共に、
──────2年ぶりに見た笑顔だった。
fin.
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