一夜目 一人ヶ原

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hina「まあまあ、細かいことは気にしない。それに、思い付いたその風景のことを話せる相手ってもはやうちしかいないでしょ? だったら、ウィンウィンってことで」 「ウィンウィンなのかな……。そう言えば、この会話から録画してるってことは、後で聞き直す時に自分の声も入っちゃってるってことだよね。陽菜は気持ち悪くならないの? 私、録音された自分の声って自分じゃないみたいでなんかイヤなんだけど……」 hina「それについては大丈夫。うちの声は後から編集でカットする予定だから。さて! 前置きはここまでにして、そろそろ始めようよ。あっ、今から寝るから画面は切っとくね。よろしくー」 「……わかったよ。じゃあ、これは私が最近見た風景の話。広い草原の中に佇む、小さな駅の話で……」 hina「また、それ系の話? 最近ネタ切れ気味なんじゃないの?」 「え? 寝るんじゃなかったの?」 hina「いや、引っかかりがあったらかえって眠れないかもしれないじゃん。思うことがあれば勝手にツッコミ入れるので気にせず続けちゃってください」 「いや、気にするなって言われても……。まあ、いいや。1人の人間の頭に浮かぶことだからね。内容がかぶってくることもあるよ。それで、その駅は街から離れた草原や山肌の合間を縫うようにして走ってるローカル線の中にある一駅なの。あ、このローカル線は一両しかないディーゼルカーね」 hina「細部まで詰めるねえ。でも、そこまでだとそんなに変な話ではないね。普通にどこかにありそうな感じだし」
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