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先輩行員はてきぱきと業務をこなしていた。
遥香はまるで、推しでも見るみたいに、陶酔していた。
その時、入り口から帽子にサングラスをつけた二人組の男が来店してきた。お客も行員も遥香も、不穏な空気を感じて、彼らに視線を向けた。
二人組はその歓迎されない視線にたじろいだが、懐から拳銃を取り出すと、一人が天井に向けて発砲した。
お客は銃声に悲鳴をあげ、行員たちは右往左往した。すごい!今年は偽物の強盗のサプライズか!エイプリルフールならではだ。
遥香は感動して、膝が震えた。
二人組の強盗のうち、背の低い方がお客に銃を向けながら、一か所に集まるように指示した。
背の高い方はカウンターに歩み寄り、リュックを置くと、女子行員にありったけの現金をリュックに詰めるように指示した。
女子行員は真っ青な顔で、支店長に金庫を開けるように指示した。
その間、背の低い方は袋を用意し、人質になったお客からスマホを回収し始めた。
「おい、警察に連絡するなよ」
背の高い方はドスの効いた声を発した。
行員三人が現金の束をカウンターまで持って来た。
遥香は目を輝かせていた。すごい。ここまでやるなんて。まるで本物の強盗が侵入したようではないか。
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