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それは、僕が最初に魔法を見た草原の世界で行われた。柏木は転移の魔法が使えないらしく、転移の便利さに驚き、羨ましがっていた。
「ちなみに一応聞いておきたいんだけど柏木くんは変身魔法以外も使えるんだよね?」
柏木はなにを当たり前のことをといった感じで、
「あんな大魔法習得するのに何年もかかるから、他なんてないだろ」
──彼女も同じタイプだ引き出しを開けるとはなんだったのか。
「まあとりあえず、俺は星野の魔法を見たことがない、考えはあるからとりあえず打ってくれ」
はいはいと彼女は僕と柏木の前に出て目を閉じて魔法を発動する。あの時のように空に小さな星をまくと、黒い夜空が満天の星空に変わる。
柏木はほうっと感心している。僕もその星空の美しさに息をのむ。
「よし、二人共この空を飛び回るぞ」
柏木は目を閉じて、不死鳥の姿になる。
「これ、乗っても大丈夫なやつなのか?」
僕は不死鳥が纏っている炎を見て聞いた。随分、熱そうだ。
すると、柏木の近くにいた彼女が先に不死鳥の背に乗る。
「大丈夫みたい、少し暖かいくらいだよ河野くん」
僕のそう言う彼女のあとに続いて乗ると、柏木は大きく翼を広げて星空向かって飛んだ。
ヒューっと風を切りながら僕らは星空の中を飛ぶ、いくつもある色とりどりの星の中を駆ける。
「自分の魔法で作った星空に入るなんて夢みたい──綺麗だね河野くん」
「ああ、凄く綺麗だ」
その時、頭の中に柏木の声が聞こえてきた、
『星野のことが好きでこの世界に来たんだろ、せっかく舞台揃えたんだから魔法の一つでも 見せてかっこつけろよ』
柏木はテレパシーが出来るのか、僕に魔法なんて使えるのか。
『俺の見立てだけどな、お前はこの世界に来た時点で半分は俺たちと同じ性質になってるはず』
──なるほど、出来るか分からないけど、僕は目を閉じて魔法のイメージをする。
風が止んだ、不思議と僕の頭はあらゆる雑念がなくなり、魔法のイメージが鮮明に見えるようになった。
そして──僕は初めての魔法を発動させる
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