新しい家族と学校と

1/3
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

新しい家族と学校と

「ただいまー!ささ、えっと名前聞いてなかったね」 ──そういえば言ってなかった。 「河野悟」 「よし、河野くんリビングに行こう!」 そう言って、リビングに向かう彼女の後についていく──。 リビングのドアを開けると、ほのかにスパイスの香りがする。どうやら星野家の今日の夕飯はカレーみたいだ。 「由紀、今日は遅かったじゃないまた転移に失敗し──あらお隣の子は?」 30代くらいの女性が、カレーの並んだテーブルに腰掛けている。 「この子はわたしが転移先で拾ってきた河野くん。帰る場所がなくなったみたいだから」 母親らしき女性が僕を見て、少し驚きと困惑の表情を浮かべて言った。 「河野さん──あなたこの世界の人じゃないでしょう。本当に戻らなくていいの?」 僕はうなづく 「はい、戻っても帰る場所がないので」 「でも・・・・」 まだ困惑の表情を浮かべて、なにか言おうとする母親をさえぎって、彼女は僕の手を取り席に連れて行く。 「いいから、お母さん、河野くんの分のカレー出してあげて」 母親は席を立ち僕の分のカレーを盛りに行く。 「由紀、このことはお父さんにはあとで電話で伝えておきますからね」   
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!