【桜と団子と僕の自転車】

6/7
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「お兄ちゃん!!綺晶(きあら)、お兄ちゃんのお弁当が食べたい!!」 と、目を輝かせて僕にせがんだ。 「これ!!綺晶(きあら)ちゃん!!」 母親は慌てて綺晶(きあら)ちゃんをたしなめた。 だが綺晶(きあら)ちゃんは黙らない。 「綺晶(きあら)の団子あげるから、お兄ちゃんのお弁当、ちょうだい!」 「これ!!!綺晶(きあら)ちゃん!!駄目でしょ?!」 「あ、いや……お母さん。僕はいいですよ?」 僕は綺晶(きあら)ちゃんの無鉄砲(むてっぽう)さにクククと笑いながら、お母さんにそう言った。 「何から何まで……本当にすみません」 「いえいえ」 綺晶(きあら)ちゃんは更にヨダレを垂らし、まるで子犬のような状態。 僕はまたもや、クククと笑いながら自分の弁当箱を綺晶(きあら)ちゃんに差し出した。 すると待ってたとばかりに綺晶(きあら)ちゃんは僕の弁当箱をもぎ取り、三色団子を僕に押し付けると(むさぼ)って、僕の弁当を食べだした。 「この子ったら!!」 綺晶(きあら)ちゃんのお母さんは冷や汗をかきながら何度も、僕に謝ってきた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!