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不敵に微笑むかなでっちゃんに「何の話?」とすっとぼけてみる。
「ショウって偽名を使って随分と悪さしてたみたいだな」
「………過去の話よ。てか、もしかして全部聞いてた?」
かなでっちゃんは俺の質問には答えずに、悪い顔をしながら言う。
「可愛い妹の悲しむ顔は見たくないから凪には黙っててやるけど、母さんや禅兄が知ったら、凪の結婚相手として難色を示すんじゃないか?」
「かなでっちゃん……強請るつもり?」
何となく彼が言いたい事が分かった。
「だーい丈夫。俺は男の約束が出来る、信頼の置ける人間だ」
「……かなでっちゃん…」
かなでっちゃんが俺の肩に腕を回した。
肩にズシッと彼の重みがかかる。
「だからもう1週間、客寄せパンダの延長頼むよ」
俺に拒否権はない。
「………了解、未来のお義兄様」
かなでっちゃんは、やはりあくどい男だ。
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